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心の育ちをサポートする3

2019/01/06

その子の〝ありのまま〟を受け容れ、必要な支援を

 

 先に挙げた男の子の例のように、私たちは大きく「波長」が違う子

だとありのまま受け容れようとするのですが、難しいのは、少し「波長」

がずれている「パステルカラー」や「グレーゾーン」の子どもたち。少

しずれているだけだからと、多数派に合わせようとしがちです。

 たとえば、アトピー性皮膚炎や小児喘息は、それを治療しても、そ

の子のアイデンティティは傷つきません。ところが、ADHD(注意欠如・

多動性障害)やASD(自閉症スペクトラム障害)の傾向がある子ど

もの困り感を修正しようとすることは、その子自体を傷つけることになるのです。

なぜなら、ADHDもASDも、その子の大切なアイデンティティであって、

強みでもあるからです。多数派と大きく違う「波長」を持っている子が、

集団の中で一方的に「あなたの行動はおかしい。多数派に合わせなさい」

と言われ続けるとどうなるか。自分のアイデンティティを攻撃されていると感じます。

そして、傷つき、心が委縮してしまいます。

 私は、多数派と「波長」がずれている子どもたちを、「標準の発達

に近づくようトレーニングしよう」などとはまったく思っていません。た

だ、私たちの世の中は、多数派が生活しやすい環境になっていますので、

その子が生活しやすいよう、アイデアを出したり、一緒に工夫したりして

いくことは必要です。

 「あなたは大切な存在。そして、あなたの多動や衝動性はあなたの

強みなのよ」というメッセージを伝えつつ、「でも、こういう場面では

困っているみたいだから、こんな工夫をしてみようか」と提案する。根

気が要りますが、こうした向き合い方、サポートのしかたが、心を育て

る上で大切だと思います。